一般社団法人 軽金属学会

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2025年3月11日開催 第134回シンポジウム「アルミニウムの水素脆化・応力腐食割れの最前線」


開催期間

開催期間 2025年3月11日(火)11:00~17:00

概要

概要 文部科学省の戦略目標(ナノスケール動的挙動の理解に基づく力学特性発現機構の解明)の元,2019年度にCRESTナノ力学プロジェクトが発足した。物質内部や界面で生じる原子の運動,微細構造変化等のナノスケール動的挙動を解析・評価する技術を発展させ,マクロスケールの力学特性を決定する支配因子を見出してその作用機構の解明を行うとともに,新たな力学特性を有する革新的力学機能材料の設計指針を提示することを目指している。アルミニウムに関しては,九州大学,NIMS,JAEA,京都大学,鳥取大学,富山大学がチームを組み,水素脆化の学理究明と水素脆化・応力腐食割れ防止のための産業技術提案を目指している。現在までに,X線,ミュオン,アトムプローブトモグラフィー等を用いた水素や水素脆化の計測と原子シミュレーション,変形と水素拡散のマルチシミュレーション技術等の開発・適用により,これまで見えなかったアルミニウム中の水素の存在位置・状態やナノ~マクロのトランススケールの水素脆化プロセスが明らかになっている。
 近年,カーボンニュートラルなどの観点から,7000系合金など高強度なアルミニウム合金のニーズが高まっている。高強度なアルミニウム合金の工業的に重要な課題として,水素脆化や応力腐食割れがある。このシンポジウムでは,CRESTで得られた知見を応用した水素脆化・応力腐食割れ防止法やそれを用いたアルミニウム合金の超高強度化の実施例についても紹介する。
詳細プログラム(敬称略):
11:00~11:05 開会の挨拶 企画委員長

11:05~12:05
1. 自動車部品用高強度7000系アルミニウム押出用合金の実用化動向と課題
   株式会社神戸製鋼所 志鎌 隆広
衝突安全基準の向上に伴い,自動車部品の高強度化が進んでいる。軽量化を目的にアルミニウム合金を
使用するには高強度化が要求されるが,耐SCC性が課題となる。本報告は自動車部品用7000系合金押出
材の開発状況と実用化の課題を述べる。

12:05~13:05 休憩

13:05~13:50
2. CRESTナノ力学・水素脆化プロジェクトとその研究開発成果の概要
   九州大学 戸田 裕之
本プロジェクト研究は,実験科学,計算科学,統計科学を融合し,水素脆化の理解およびその防止を追求
した。本成果は,応力腐食割れ防止や環境助長疲労破壊の抑制などに応用でき,アルミニウムの信頼性向上
や高強度化に資すると期待される。

13:50~14:15
3. アトムプローブトモグラフィーを用いた水素直接可視化の実現
   物質・材料研究機構 佐々木 泰祐
水素の分布をナノスケールでの可視化は,7000系アルミニウム合金の水素脆化メカニズムの有用な知見
となる。一方,水素の分布は,EDSなどの元素分析法では解析できない。講演では三次元アトムプローブ
を用いた水素の観察手法とアルミニウム合金への適用可能性を議論する。

14:15~14:50
4.粒子水素トラップによる水素脆化防止
   鳥取大学 清水 一行
アルミニウム合金の新しい水素脆化防止法として,母相に特定の第二相粒子(相内に強い水素トラップサ
イトを有する粒子)を分散させることを提案し,本プロジェクトでFe系,Mn系など複数の当該粒子を発見
した。本講演では,粒子分散による水素脆化防止のコンセプトと実証結果を紹介する。

14:50~15:25
5. ミュオン計測の新展開:水素トラップ評価
   富山大学 西村 克彦
ミュオンスピン緩和法と第一原理計算を組み合わせた手法により,アルミニウム合金および析出化合物
中の水素原子のトラップ位置および結合エネルギーの評価について,新たな知見を紹介する。

15:25~15:40 休憩

15:40~16:05
6.応力腐食割れの物理・化学と粒子水素トラップによるその防止
   九州大学 藤原 比呂
高強度アルミニウム合金の応力腐食割れは水素脆化に起因するとされている。水素を第二相粒子や析出物
に分散させる水素脆化防止法は,耐応力腐食割れの向上に期待される。講演は応力腐食割れへの水素脆化
防止法の有効性について紹介する。

16:05~16:30
7. 巨大歪加工で超高強度化したアルミニウムの水素脆化抑制
   九州大学 戸田 裕之
本プロジェクトの産業的な成果として,ナノ~ミクロ粒子分散によるアルミニウム合金の水素脆化防止法
を提案した。本講演では,巨大歪加工で極限的に高強度化した材料の有効性を検証し,SCCや水素脆化を
抑えながらアルミニウム合金をさらに高強度化できる可能性を示す。

16:30~16:55
8. ナノレベル破壊基準に基づくマクロ水素脆化特性評価
   九州大学 濱田 繁
金属材料に関して,ナノスケールでの破壊に基づくマクロスケールの破壊特性の予測は困難とされてき
た。本プロジェクトで構築した,アルミニウム合金の水素脆化現象を対象とした,ナノレベル破壊基準に
基づくマクロ水素脆化特性の評価手法について紹介する。

16:55~17:00 閉会の挨拶 企画委員長

(世話人:星野 倫彦(日本大学),糸井 貴臣(千葉大学),
     小椋 智(大阪大学),長澤 大介(日本軽金属株式会社))
主催一般社団法人軽金属学会
後援
協賛日本アルミニウム協会,日本マグネシウム協会,日本チタン協会,日本金属学会,日本鉄鋼協会,日本材料学会,日本機械学会,日本塑性加工学会,日本鋳造工学会,軽金属製品協会,軽金属溶接協会,資源・素材学会,自動車技術会,日本ダイカスト協会,日本溶接協会,溶接学会,粉体粉末冶金協会,日本顕微鏡学会,表面技術協会,日本チタン学会
会場貸教室・貸会議室 内海 3F教室(〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町3-6-15東京学院ビル)
JR水道橋駅西口徒歩1分
開催方式:ハイブリッド開催(Zoom利用)
     ※講演者,受講者の参加状況によって,開催方法の変更の場合もあります。
      最新情報は随時,HP等でご案内します。
参加費正会員10,000円 維持・協賛学協会員15,000円 学生会員1,000円 非会員20,000円 学生非会員2.000円
定員60名(会場)
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