一般社団法人 軽金属学会

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第40回小山田記念賞

受賞技術「多様な機能を有する二輪車用アルミニウムフレームの開発」

受賞者

山縣  裕 君  ヤマハ発動機株式会社
小池俊 勝 君  ヤマハ発動機株式会社
橘内  透 君  ヤマハ発動機株式会社

表彰理由

 自動二輪車の市場は,他と比較してアルミニウムの適用が進んでいる分野である。しかし,その主構造であるフレームは,車体の使用目的に合わせた様々な機 能が要求され,コスト面でのハードルもあり,アルミニウムの適用はある限られた範囲にとどまってきた。今回の受賞技術では,様々な要素技術の開発・適用に より,これらの課題を解決している。
 高速安定性を満足するため高剛性フレームが要求されるスポーツ系大型車では,開発した高真空ダイカスト技術を用い,高延性改良合金で薄肉大型部材を鋳造 することにより,信頼性の高いフレーム構造を達成した。これにより,鉄パイプ構造では80~100点となる部品点数を4部品へと大きく削減し,コストも鉄 フレームより安くなるという効果が得られ,その適用範囲の拡大が大いに期待される。
 一方,オフロードのコンペティションに使用されるON-OFF車では,しなやかな乗り味を満足するようにフレームの剛性を低めに抑えつつ,かつ着地時に 発生する高応力に耐え得るフレームはアルミニウムでは困難と考えられてきた。今回は,7000系高強度合金鍛造品と中空重力鋳造品のパルスMIG溶接によ る溶接構造により,この課題を解決し,競技モデルに適用することができた。
 このように,本技術開発は,画期的なものであり,従来鉄製であった一般大型車,大型スクーター,ON-OFF車など,二輪車すべてのカテゴリーでそのフ レームをアルミニウム製とすることが可能とした。すでに,2000t/月アルミニウム使用量が増加しており,今後の適用拡大も含め,産業界に及ぼす経済的 効果も大きいことから,小山田記念賞を与えるにふさわしい技術であると判断する。

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