一般社団法人 軽金属学会

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エッセイ

PTA役員に就任して

平成28年5月1日掲載

髙橋 英徳

北海道立総合研究機構
ものづくり支援センター
研究主幹

 

 数年前から、子供が通う中学校のPTA会長を務めています。「立候補したの?」といつも聞かれますが、とんでもない! 中学校からの打診には、「職場での許可が得られない」と定石通りのお断りをさせて頂きましたが、敵も然る者?か、職場の同僚が10年以上も前にPTA会長だったという事実をどこからか調べ出してきて、まさに「外堀を埋めた」状態での打診に断る理由を奪われてしまいました。長時間の交渉に根負けして「1年間だけ」の約束で引き受けましたが、いざ就任してみると約束した教頭は異動で不在となっていて、1年間の約束は引き継ぎされていなかったことから、それ以降延々と続いています。中学校側の計略にまんまとはまったようです

 PTA活動経験が全くない状態でのPTA会長就任なので、見るもの聞くもののすべてが初めてのものばかりでした。PTA会長の業務は、本来業務のPTA会議の他に多数の外部各種会議への出席ですが、そのほとんどで冒頭や終わりの挨拶をさせられます。正直に申しまして、人前での挨拶は非常に苦手です。仕事柄、技術講演などは平気ですが、年齢も職種も様々な方々の前での挨拶は内容も絞りにくく、かなり難しいです。

 挨拶関連で、最も頭を悩ますのは入学式や卒業式での来賓祝辞です。まず基本についてですが、ステージへの登壇の際には、礼をする位置や方向、タイミングなどの作法があります。これは誰も教えてくれないので、ネットで調べたり経験者に聞いて廻ったりなどとあれこれ調べました。どうやら特別な作法はないようで、慣例的に行われているようです。祝辞は、パタパタと折りたたむ紙に内容を書き込み、それを多当紙(たとうし)と呼ばれる三つ折りで懐に入れる紙に入れたものを用意しなければなりません。子供達にも理解してもらうために、わかりやすい内容で長すぎず短すぎず、さらには保護者だけではなく先生方や出席している地域の方々へのメッセージを含んだ内容にする必要があることから、本当にあれやこれやといろいろと考えます。最近は慣れてきて、その場の雰囲気でちょっとしたアドリブを入れられるようにまでなりましたが、当初は緊張して声が震えるのを隠すのに必死でした。ちょっとでもミスると、スマホのLINEで「PTA会長、噛み噛みぃ」「笑ろた」などの言葉が飛び交い、ネット上でイジられることになります。怖い時代になりましたねぇ。回数を重ねると、パタパタ紙を作るのが面倒になり、その場で自由に話したくなりましたが、「記録として残す必要があることから、必ず祝辞を文章として用意する」のが原則とのことなので断念しました。

 もう一つPTA活動で困ることは、職場ではPTA活動は年休扱いなので、年休がほとんどなくなってしまうことです。ある大手企業では、PTA活動にはボランティア休暇等が取得できると聞いたことがあり、とてもうらやましく思ってます。

 と、愚痴っぽいことばかり述べていますが、マイナスなことばかりではなく、いろいろな新しい出会いや経験があります。通常では出会うことがない地域の方々、例えば警察や教育行政関連の方々や、学校区内に中小企業が多いことから地場企業の代表者の方々と知り合うことができました。地域支援の一つであるPTA活動から企業さんとの出会いがはじまり、私が地場企業を支援するための公的機関に所属していることから技術的な支援に発展し、その企業さんが金属関連製品製造業だったので軽金属学会のことも紹介させて頂いたという、まさに理想的な展開をさせて頂いた事例がありました。

 最近は、PTA活動をお願いする方々を集めるのに大変に苦労します。ネットには「PTA役員を断る方法」のサイトが多数あります。皆様の中で、もしもお子様の学校からPTA役員への就任の依頼がありましたら、どうかご一考頂き、きっと新たな発見や展開があると思いますので、無理しない程度でのご協力をいただきますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 思いつくままに、いろいろと書かせて頂きましたが、ここでは披露できないお話もあります。ご興味がある方は学会の懇親会でお声をかけてください。

 

 

 
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