エッセイ
新幹線開業でにぎわう北陸
平成27年9月1日掲載
阿見 秀一
三協立山株式会社
本年3月の北陸新幹線開業からはや半年が過ぎた。私自身幾度も出張等で利用し、移動時間が大きく短縮したことや、乗り心地の良さを体感している。富山県に本社を置く当社に入社したのは約40年前。当時、東京へ出張するとなると信越・上越線経由で片道7時間ぐらいかかったと記憶している。それが新幹線では富山から東京が最短で2時間8分、最寄り駅の新高岡から東京までも最短で約2時間半と大幅短縮となり、首都圏がぐっと近く感じられるようになった。
北回りの整備新幹線として基本計画が策定されたのが1972年(昭和47年)。先行した長野まで、そして今回の金沢までの開業に40年以上の月日を要しただけに北陸の期待感は高い。実際、首都圏から短時間でこられるようになったことや、話題性もあり石川の兼六園や、輪島の朝市、富山の立山黒部アルペンルートなど、観光地では大幅に来場者が増加しているようだ。北陸全体として首都圏などからの交流人口が増加することで、地域の賑わい創出と併せて経済効果にも大きな期待が寄せられている。
立山黒部アルペンルート「雪の大谷」「黒部ダム」
北陸新幹線では、建材を主力とする当社も新たに建設された沿線の駅舎や、駅前周辺等でサッシやカーテンウォール等の建材をはじめ様々な商材を提供させていただく機会を得た。また、一部ではあるが、新幹線の内装材にも当社の材料が採用されている。
施工事例:当社最寄り駅となる新高岡駅と駅舎に採用いただいたカーテンウォール
次に当社として新幹線開業に関連して昨年から始めた産業観光の取り組みを簡単に紹介させていただきたい。
当社では新幹線開業の約1年前となる昨年4月から、産業観光を通じた地域の活性化と富山県を代表するアルミ産業を広く知っていただくための活動として、一般のお客様を対象にアルミ建材が出来るまで(溶解・鋳造・押出、表面処理・加工工程など)を見ることができる工場見学ツアーを始めた。新幹線開業前にもかかわらず、東京や埼玉、神奈川など関東方面からのお客様が多く、トータルの見学者は昨年1年間で800名を超えた。
一般のお客様に開放している工場は当社の溶解・鋳造・押出、表面処理など上流工程の3工場とビル用製品の主力となる加工・組立工場を加えた4工場。アルミ建材が材料から製品になるまでの流れを見ていただける。さらにお客様の希望する時間や内容にあわせてコースを設定し、当社の専任説明員が皆さんに同行、案内する形となっている。
当社国内工場のほとんどが富山県内に集積しているが、今回一般開放している4工場は、富山湾のほぼ中央に位置する伏木富山港周辺に隣接する形で集約されている。これは当社の扱うアルミ製品の原材料となる地金が船舶での輸入が中心のため、インゴットの荷揚げを含めて港湾施設が整っている同港付近に上流工程の工場を集めることで、効率的な一貫生産体制の構築を目指してきたことによるもの。
また伏木富山港周辺には帆船「海王丸」を見ることができるパークや、日本海側では最大となる2層構造の斜張橋「新湊大橋」、新鮮な海産物を販売する「道の駅」などの観光施設が複数あり、観光コースの一環として旅行会社などの認知度も高まってきている。現在も多くの見学予約をいただいており、昨年の見学者数を今年は大きく上回る見込みとなっている。
産業観光として開放した当社押出工場(射水工場)
まだ、北陸新幹線に乗られていない皆さんは、この機会に近くなった北陸まで足をのばしてみてはいかがでしょうか。その際はぜひ、当社の工場にもお立ち寄りください。
当社の産業観光に関してはこちらを参照ください。
※工場見学は、一般のお客様を対象に行っております。建築・設計・流通関係のお客様は、当社支店・営業所までお問合せください。