アルミニウムの歴史
1.過去の歴史を築く
1.1 アルミニウムの起源
地球上で、アルミニウム元素は酸素との結合力が強いことから、自然界には主としてAl2O3(アルミナ)の形態をとって存在しています。アルミナの天然単結晶はコランダムと呼ばれ、高純度で微量の多種金属元素を含んだものは美しく発色する場合があり、サファイヤやルビーといった宝石として知られています。金属アルミニウムの名前の由来は、明ばん石(アルミナ)のラテン語alumeǹを語源とするaluminaからつけられました。
金属アルミニウムは、1807年にイギリスの電気学者H.デービーにより明ばん石から電気化学的な方法で分離することが試みられ、それはアルミアム(Alumium)と命名されました。今日、その呼称はアルミアム(Alumium)、アルミニウムは(Aluminium)であり、2つの呼び名となっています。
1886年に米国のC.M.ホールと仏国のP.L.T.エルーにより電解精錬法(ホール・エルー法)が発明され、アルミナと氷晶石からなる溶融塩を電解する方法でアルミニウムが大量に製造されることになりました。この方法では、酸素との結合力の強いアルミニウムを酸素と分離するために多量の電力(例えば、約2万kWh/1t)を投入することになり、”電気のかんづめ”ともいわれていますが、逆にそのリサイクルには少量の電力ですむことから、リサイクルすればするほどエコマテリアルとなるという、素晴らしい材料です。
1.2 アルミニウムの起源
日本に、初めて、アルミニウムの地金が輸入されたのは1887年(明治20年)、そして1894年(明治27年)に日本初のアルミニウム製品(帯剣、剣吊等の尾錠)が作られました。100年以上前のことです。アルミニウムの製錬が開始されたのが、1934年(昭和9年)です。現在、高速輸送機の飛行機や列車に使われている超々ジュラルミンは1936年(昭和11年)に開発されています。
その後のアルミニウム合金の製品開発や身近なアルミニウムの製品の歴史を表1に示します。
年 | 工業製品 |
1949年 | 煙草の包装用アルミニウム箔 |
1952年 | アルミニウムサッシの使用 |
1953年 | 電車の内装材でアルミニウムの使用 |
1954年 | エスカレータの踏み板にアルミニウムダイキャスト材の使用 |
1955年 | アルミニウム1円硬貨の発行 |
1958年 | 家庭用アルミニウム箔の登場 |
1967年 | カラーアルミニウム板の登場 |
1969年 | 乗車用アルミニウム製ラジエータの搭載 |
1971年 | オールアルミニウム缶ビールの販売 |
1972年 | 高校野球でアルミニウムバットの公認 |
1975年 | LNG船用アルミニウムタンクの登場 |
1980年 | 複写機用アルミニウムドラムの普及 |
1983年 | コンピュータ磁気ディスク用アルミニウム基板生産の普及 |
1986年 | 乗用車へのアルミニウムボンネットの搭載 |
1990年 | オールアルミニウム製スポーツカーの登場 |
1991年 | 空き缶はリサイクルへという飲料缶の識別マークの義務化 |
2000年 | ボトル型アルミニウム缶の開発 |